第二章 〜胎動〜


 自営をすることは決めた。ではどんな仕事で自営するのか。

 

 当時は「ダイヤモンドシティソレイユ」すぐ近くのアパートに住んでおりましたので、その中の「紀伊国屋書店」に毎日通い、情報を収集していました。

 

 色々な資格に関する本・自営のノウハウ本などを読みあさり、ふとある資格雑誌の「整体師」のページが目に入った瞬間。

 

 「これは・・!」

 

 何か他の職業を見た時とは違う感覚を感じました。 「勘が働いた」という表現でもいいでしょうか。

 

 元々人を喜ばせたい・笑顔にしたいと思っている自分にとって、この職業は天職になるのではないか・・。

 

 そしてそれから間もなくのある日。

 

 たまたまつけたTVのチャンネルが、「カリスマ・ゴッドハンド整体師特集」という番組でした。それは様々な芸能人が、どんな凄腕の先生の所に通っているかを取り上げた番組でした。

 

 その中で、重度の症状から整体師のおかげで回復した芸能人が言った、ある一言が自分の心を強烈に揺さぶりました。

 

 “私は一生、この先生と共に人生を歩んでいきます”

 

 人の人生にこれほどまで深く、支えることができる職業。そしてその人にとって、何ものにも代え難い存在になれる職業。

 

 「この道に進もう」

 

 整体師こそが自分の探し求めていた道だと確信し、そして決意した瞬間でした。

 

 そして早速始まったのが、整体の専門学校探しです。 

 

 またソレイユのフタバ図書にて、雑誌で整体の専門学校を探していると・・・、携帯に着信が。

 

 「え・・・何だろう??」

 

 それは10年来の友人からの電話だったのですが、その友人から電話がかかってくるのは、10年間の付き合いでその時が初めてだったのです。

 

 なぜかけてきたのか不思議に思いながら、電話に出ました。

 

 自分「もしもし」 

 友人「ほい、ひさしぶりー」

 自分「急にかかってきたからびっくりした。何かあったのかい・・?」

 友人「いえ、特に何も。ただ何してるかなと思ってね」 

 自分「本屋にいたとこだよ。転職を決めたんで色んな本を読んでるとこ。」

 友人「へえー、また思い切ったことを。ま、らしいけどね。で、次は何になんの?」

 自分「んー、整体師になろうと思ってね」

 友人「あ、そうなん?ならウチの親父に会ってみたら?同じように脱サラして整体師してるし、教えてくれるかもよ。とりあえず会う気あるならセッティングするから」

 

 以上のようなやり取りにより数日後、その友人の父親である先生をご紹介いただき、先生宅に寝泊りしながら直接整体法を教えていただくことになりました。

 

 こうしてあっという間に整体師への道筋が決まったのです。冒頭からここまでの経緯には、三日と経っていません。

 

 《何かを決意し、本気でそれに向かって自分が動き始めたとき。そこへ導くかのように周囲が動き始める》

 

 それを体感したのでした。


 授業1日目、先生宅で迎えた朝。ベランダから見える日の出の景色が、何か今までと違います。

 

 いや、一番違うのは自分の心だったのでしょう。

 

 「これから新しい人生が始まるんだな・・・今日が記念日になるな・・・!」

 

 この時の気持ちと景色をずっと残しておきたくて、その景色の写真を撮りました。

 

 この写真を見ると、当時の心境を思い出します。そして今の心境が、その当時と何ら変わっていないことを、再確認しています。

写真データが残っておりました。(日付2007-01-29-0722)
写真データが残っておりました。(日付2007-01-29-0722)

 こうして先生の元で寝泊まりしながら2か月間、リフレクソロジー(足もみ)・リンパマッサージ・足圧整体の指導を受けました。

 

 また先生の勧めで、リフレクソロジーの大手専門学校にも通い認定資格を取得し、晴れて2007年4月1日、先生のお店のスペースを間借りして独立開業しました。