第一章 〜求道〜


 2001年、広島大学を卒業して防衛庁(現防衛省)に入りましたが、デスクワークではなく直に人と触れ合い、喜ばれる仕事をしたくて試験を受け直し、郵政事業庁(現日本郵政公社)に入りました。

 それからの5年間、郵便局の外務職員として、郵便配達のかたわら「ゆうパック・ゆうちょ・かんぽ」の営業を行なっておりました。お客様から直に喜ばれる仕事につき、また余暇も十分ありましたので大好きなバドミントンにも打ち込むことができ、充実した人生を送っておりました。

 

 ある日のこと。おかげさまで「優秀セールスマン賞」という営業の表彰を受けることができました。当時この表彰を受けるために、日々の仕事を頑張ってきたと言っていいでしょう。喜び勇んで局長から表彰状を受け取った時。

 

「あれ・・・??」

 

 あれだけ必死に頑張って獲得した表彰状なのです。なのにそこには感動も感慨もありませんでした。

 

 「辿り着いた所に何も感動がないのに、毎日を過ごしていいのだろうか・・・」

 

 そういった違和感に似た思いを抱えながら、日々の業務をこなしておりました。

 

 ある日、尊敬する局員の大先輩が「二十何年連続・優秀営業賞」ということで記念バッヂを獲得されたということで、尋ねてみました。

 

 「今の御気持、やっぱり嬉しいですか?」

 

 その方はつまらなそうに、こう答えました。

 

 「≪・・・まあ、こんなもんなんじゃないの≫って思った。ただそれだけ。」

 

 抱いてきた違和感が、一気に大きく膨れ上がった瞬間でした。

 

 その方は定年前まで、ただひたすら「ゆうちょ・かんぽ」の営業に身を捧げ、一生懸命働いてこられたのです。そのたどり着いた先が「こんなもん」という気持ち。

 

 自分が定年になり、そして人生を終えるとき。自分は果たしてそれで納得して、その生を終えることができるだろうか。

 

 一度しかない人生、その終わりに「本当によかった」と思える生き方がしたい。 自分の人生は自分で作ってみる。

 

 自営をしよう。

 

 そう決めました。迷いはありませんでした。